AI研修ログ

20社公表情報を比較

研修の効果を「測る仕組みがある」と読めるのは12社——測るものの言葉は社ごとに違う

公開: 2026-09-08

先に結論

掲載20社のうち、研修の効果測定や診断の仕組みに何らかの形で触れているのは12社(2026年8月27日取得)。ただし『効果測定』『可視化』『スキル診断』という言葉そのものを本文で使っている社に絞ると6社に減る。残る6社は『アセスメント』『診断』『測定』など別の言葉で触れており、どこまでを『測定に触れている』と数えるかは、当サイト側の判断に幅がある。測る対象も、5項目のスキルを具体的に挙げる社から一言で済ませる社まで粒度がばらばらで、数の多寡そのものは優劣を意味しない。

誰向けか: 複数のAI研修サービスを比較していて、『効果測定』『アセスメント』という言葉の中身がどこまで具体的か気になっている研修担当者。

  1. 『測定・診断の仕組みがある』という記載でも、何を測るかの対象(スキルの項目数、業務プロセス、DX推進力など)が具体的に書かれているとは限らない
  2. 測定機能の有無は、記載の多寡であって、研修の効果そのものの高さを示す指標ではない
  3. 気になる社には、測定項目の数と、比較対象(受講前の自分か、他社の受講者か)を直接聞く

「効果測定つき」という一言を見ると、それだけで少し安心する。数字で成果を示せるなら、上司への説明もしやすくなるはずだ、と。当サイトが掲載している20社の公式サイトを読み直すまでは、筆者もそう思っていた。

ところが、読み直してみると勝手が違った。「測定」「診断」「アセスメント(=評価すること)」という言葉は確かにあちこちに出てくる。だが、その言葉が指している中身は、社によってまるで揃っていない。

12社、と数えたところで手が止まった

受講者のスキルや研修の効果を測る・診断する仕組みがあると読める記載をしていたのは12社だった(掲載20社中、2026年8月27日取得)。当サイトが事業者情報を整理するときに、公式サイトの記載を読んで「測定・診断に触れているか」を丸ごと判定した数である。

この12という数字を記事の核に据えようとして、念のため本文の言葉を数え直した。今度は判定を丸ごとではなく、「効果測定」「可視化」「スキル診断」という三つの言葉そのものが本文に出てくるかだけを機械的に検索した。結果は6社だった。

数え方で数字が変わる

12社は当サイトが記載内容を読んで「測定・診断に触れている」と判定した数、6社は「効果測定」「可視化」「スキル診断」という語そのものが本文にある数(いずれも2026年8月27日時点の記載、当社調べ)。残る6社は「アセスメント」「診断」「測定」を使っていても、この三語には当たらない言い回しだった。数え方の粗さは当サイト側の問題であって、各社の記載が曖昧という意味ではない。

言葉の選び方は社ごとに自由で、統一されている理由もない。それでも、比較のために数を数えようとした瞬間、こちらの物差しの粗さが先に露呈する。この記事で見ていく12社の内訳は、判定を丸ごと行ったほうの数である。

5項目を挙げる社もあれば、一言で済ませる社もある

何を測ると書いているか、12社それぞれの言葉をそのまま並べる。

会社測定・診断について書かれている言葉
Aidemy Business効果測定まで一気通貫の伴走支援/DX推進力の可視化アセスメント「DPAS」
インソース 生成AI研修「生成AIアセスメント」「IT基礎スキル診断」
キカガク DX・AI人材育成育成診断(アセスメント無料体験あり)
GLOBIS 学び放題測定もできるeラーニング
SHIFT AI for Biz現状把握・研修・効果測定・改善のPDCA支援
Schoo for Businessスキルアセスメント機能あり
スキルアップAI5項目のスキルをレーダーチャートで可視化する「DXアセスメント」
デジタルグロースアカデミアデジタル活用アセスメント/DX人材アセスメント
.Pro AI研修研修後の効果測定とアフターフォロー(1ヶ月後にMTG)
トレノケート AI研修DX・ITアセスメントサービスあり
富士通ラーニングメディア浸透支援パック(サーベイやインタビューによる調査・施策実施・効果確認・改善)
Udemy Business学習成果の可視化・学習進捗管理

このなかで測る対象の項目数まで書いているのは、スキルアップAIだけである。

スキルアップAI

「5項目のスキルをレーダーチャートで可視化する『DXアセスメント』」。測る対象が5つと具体的で、結果を図で示す方法まで書かれている。

GLOBIS 学び放題

「測定もできるeラーニング」。測れることは書いてあるが、何を測るのか・いくつ測るのかは、公式サイトのこの記載からは分からない。

同じ「測定・診断に触れている」でも、片方は項目数と可視化の方法まで見え、もう片方は動詞ひとつで終わっている。数として並べれば同じ1件だが、契約前に読者が知りたい情報の量はまったく違う。

公的な物差しの名前は、一度も出てこなかった

測定の言葉が社ごとにばらばらなのを見て、公的な基準はないのかと思い、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のサイトを確認した。IPAは「デジタルスキル標準」という枠組みを公表しており、ビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、DXを推進する人材向けの「DX推進スキル標準(DSS-P)」の二つで構成される(2026年9月7日取得)。

この標準そのものに沿って測定内容を設計することは、各社にとって不自然な選択ではないはずだ。ところが、掲載20社の記載を「デジタルスキル標準」「DSS」「DX推進スキル」「DXリテラシー標準」という語で検索し直しても、該当は0社だった(同じく2026年8月27日時点の記載)。公的な枠組みを土台にしているとしても、少なくとも公式サイトの言葉としては出てこない。各社はそれぞれ独自の名前を付けたアセスメントを、独自の言葉で語っている。

測定機能の有無は、優劣の指標ではない

ここまで挙げた12社と、測定・診断に触れていない8社を比べて、前者のほうが良いという話にはならない。掲載の中立性に書いたとおり、当サイトは記載の多寡で序列をつけていない。測定機能を前面に出さない社が、社内で独自に効果を確かめていないとは限らないし、逆に「5項目」と明記していても、その5項目が自社の業務に合っているとは限らない。

比べるなら、数の有無ではなく中身を聞くほうが早い。測定の対象は何か、項目はいくつか、比較しているのは受講前の自分か、それとも他社の受講者の平均か。この3つを尋ねれば、公式サイトの一言では見えなかった粒度が分かる。各社の記載全文は、掲載サービス一覧の個別ページに載せてある。「効果測定つき」という言葉に安心する前に、まずその中身を先方に聞いてみてほしい。

出典

  • 当社の集計(掲載20社の公式サイト記載の集計) 取得日2026-08-27
  • IPA「デジタルスキル標準」https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html 取得日2026-09-07
  • 各社の測定・診断に関する記載は、上表に記載の公式サイトより転記。内容は変わることがあるため、最新の内容は各社にご確認ください

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